自由の学風にふさわしい京大総長を求める会

私たち「自由の学風にふさわしい京大総長を求める会」の発した公開質問状への回答を掲載しています。

公開質問状

公開質問状

○質問1:学生との対話のチャネル

 京都大学現執行部は、学生担当副学長による月1回の学生向け情報公開連絡会を廃止し、学生との少人数での話し合いも打ち切るなど、学生との対話のチャネルをせばめているように思われます。その結果、当事者の学生と事前の意見交換を全く行わないまま、学生の大きな利害が関係する事項についての決定を下すことになっています。これは学生の自主性を尊重するという京都大学の教育方針とも整合しないように見えますし、学生側の実情に合わないちぐはぐな判断をしてしまうという弊害も起きているように思われます。

 こうした、京都大学の学生に関する事項の決定のあり方、学生と対話する姿勢についてどのようにお考えでしょうか。

  

○質問2:吉田寮裁判

 京都大学現執行部は2019年4月26日に吉田寮生20名を選択して建物明渡請求訴訟を京都地方裁判所に起こしました。また、コロナ禍さなかの2020年3月31日に新たに25名を追加提訴しました。まもなく125年周年を迎える京大の歴史で、初めて大学当局が学生を裁判に訴えるという事態が起こりました。

 第一次提訴の直前、2019年2月20日吉田寮自治会は2条件(2015年改修済み食堂棟の利用、清掃・点検のための現棟立ち入り)が認められるならば全寮生が新棟に移転すると表明しました。しかし、現執行部は、新棟移転を受け入れた吉田寮自治会の意向を検討せず、教授会や学内委員会でも審議しないまま提訴を決定しました。

 この吉田寮裁判の今後の対応について、どのようにお考えですか? また、裁判を取り下げる選択肢についてのお考えもお聞かせください。

  

○質問3:立看板問題

 京都大学現執行部は、2018年12月に「京都大学立看板規程」を制定し、翌年5月にこの規程を根拠として立看板を撤去しました。現執行部は、京都市からの「指導」を受けて、立看板撤去を決めました。これを歓迎する意見もあった一方で、「京都市屋外広告物条例」の主眼が営利目的の広告物の取り締まりである以上、京都市当局と交渉しながら大学の外に向けて置かれる立看を存続させるべきだという意見や、もっと歩行者の安全性と景観に配慮したものにすれば復活しても良いのではないかという意見もメディアで取り上げられました。

京都大学立看板規程」や立看文化の存続について、どのようにお考えですか?

  

○質問4:学生処分

 京都大学現執行部は、2019年9月10日付で、3名の学生を停学(無期)処分としました。その内の2名はオープンキャンパス初日(2018年8月9日)に本部構内のクスノキ東側に設置された立看板を撤去する職員の行為を妨害したことに加えて、厚生課窓口及び廊下で職員の行為を妨害したという理由、もう1名は後者の理由に限られます。

  この処分は、重すぎる処罰だという意見が教員の中に多数あります。実際、教授会での長時間におよぶ審議を経て部局から提出された学生の処分案を、学生懲戒委員会が軽すぎるということで二度も突き返しました。

 このような学生処分のあり方や、執行部と学部の自治のあり方について、どのようにお考えですか?

  

○質問5:修学支援問題

   2020年4月施行の「大学等における修学の支援に関する法律」は、修学支援の対象を年収380万円未満の世帯に限定した上で、在学生(大学2~4年生)の採用者に対しては「GPA(平均成績)等が上位1/2以上であること」「修得単位数が標準単位数以上であること」などの条件を課しています。また、支援対象の学生が所属する大学等の機関に対しては、「実務経験のある教員による授業科目が標準単位数の1割以上、配置されていること」「法人の「理事」に産業界等の外部人材を複数任命していること」といった要件を課しました。現時点では京都大学は要件を満たしているとされていますが、今後さらに要件が厳しくされることも考えられます。

 修学支援をめぐる政府・文部科学省の方針に対して、京都大学としてどのような方針で対応を進めるべきだとお考えですか?

  

○質問6:いまの京都大学に必要なもの

 いまの京都大学に最も必要なものを一言で表すと何でしょうか。その理由とそれを得るための方策もあわせてお聞かせください。